信号機の黄色は注意で、道路工事の棚にも黄色の斜線が入ったものが多い。
つまり地上では「危険」を表す色になっている。
ところが海中では赤系に続いて水深が深くなれば青い水に色が吸収されて、鮮やかさがうすれ青っぽく見える。
同系色の環境のところに存在すると、その模様とともに保護色となるらしい。
同じ太陽光の恵の中で、私達と海の生物では、まったく別の色彩を感じているのだろうか。
暗闇に咲く大輪のヒマワリ
闇に包まれた夜の海底で、水中ライトに浮かび上がったイボヤギは、くぼんだ岩肌を色彩のパレードのように黄色一色に咲き誇っていた。自然光で、見るのと違い、ライテングの関係なのか、極まった色彩に軽い目まいを覚えた。
岩陰などの日光が直接当たらない場所に見られ、日没後鮮やかな黄色の触手を伸ばす非造礁性サンゴだ。
水が清澄で流れの速い外洋に面した崖面に群生していることが多い。
◉サイズ サンゴの個体の経は約1センチ
◉撮影地 和歌山県 南紀
いざるように移動する海のアイドル
魚は「泳ぐもの」と普通は考えるが、イロイザリウオは足のような胸ヒレを動かして歩くように移動する。
頭にトゲが一本伸びていて、そのトゲの先端に擬似餌のような飾りが付いているのが特徴。
このトゲを振り動かして小魚をおびきよせ、素早く丸のみにしてしまう。
ちなみに、その速さは1000分の6秒だという。
◉サイズ 体長6センチ
◉撮影地 静岡県 西伊豆
摩訶不思議なヒトデの形と色
水温が下がる冬の海で、深海からひょっこり現れたヤマトナンカイヒトデが、岩礁にはりついているのに出会った。鮮やかな黄色い体はイボ状のトゲで覆われ、深い水圧に耐えて生き抜いてきた長い歴史を刻んでいるようで、経験したことのない感動を覚えた。
見方によっては、まるでUFOのようにも見える不思議な形態。
手が触れると、電気が走るような痛みを感じた。
◉サイズ 腕長30センチ
◉撮影地 静岡県 東伊豆
擬態する小さな鎧武者
海底の藻類に尾を巻きつけたイバラダツ。体は硬い体輪でおおわれ、口が笛のように前に伸びている。
この細長い管状の口で、スポイドでインクを吸うようにプランクトンを吸い込むという。
およそ魚らしくない体形で、背ビレを動かし、体を少し前に傾けて立泳ぎをする。
擬態するタツノオトシゴたちのなかで、イバラダツの黄色がなぜか目立つように思うのだが、不思議と海底ではそうではないらしい。
◉サイズ 体長30センチ
◉撮影地 静岡県 東伊豆