海の生き物たちがどのように色彩を見ているのか、本当のところは、なかなかむづかしくて分からないが、
識別に配列したパターンにおさまりきれない迷彩色もある。
ものには形と色があって、それが何であるかを認識して、その形にさまざまな色を塗ると、
まわりと区別がつかなくなる。
そして形として、まとまりが崩れてしまう。
色と形のまとまりが、何の関連ももたなくなったとき、それを迷彩色と呼んでいる。
ナマコに寄生するマルガザミ
元来、泳ぐのに適応進化してきたワタリガニの仲間なのに、すっかり安楽な暮しぶりを手に入れたマルガザミ。
ナマコの体表や腹面に棲み、ナマコの粘液を餌にして、肛門の中に隠れることもある。
カニにとって一方的に好都合なようだが、両者の関係には、なにか「裏」がありそうに感じる。
共生、寄生といっても、まだまだ理解できないことが多いように思う。
◉サイズ 甲幅2センチ
◉撮影地 沖縄県 座間味島
めでたい席の人気者
アカイセエビは岩礁の階段状になっている所や岩の裂け目に入り込み、人などが近づくと触角の先端を伸ばして相手を確かめようとする。餌になるものでないと分ると、ピヨンと後方に後ずさりして穴の奥に逃げ込んでしまうことが多い。
エビ「海老」はつまりは海の老人。20年余りの寿命といわれ、長寿のシンボルで、結婚式や新年の料理に欠かせない。
とわいっても、買って食べようとすると、あまりにも高価すぎて、全くなんとかならないものだろうか。
タコが天敵で、以前襲われているところを目撃したが、ものすごい争いが展開していた。
そんなタコもウツボが天敵である。
◉サイズ 体長40センチ
◉撮影地 小笠原 母島
プロポーズはでたらめとしか思えない迷彩模様
コブシメは体の背部に舟型の貝殻「イカの甲」をもつ。水ぬるむ春から初夏にかけて、オスは気に入ったメスを探し、相手に気に入られようといろいろ試みる。
足をそろえてまっすぐ上にあげたり、体全身に突起を立てて変身する。合意ができると、メスは二本足を立ててOKサインで抱擁。
しかし、イカはわずか一年で死ぬ。この時期には、波間を漂う死体をよく見かける。
一生に一度の恋だからこそ、真剣なのだろう。
◉サイズ 胴長20センチ
◉撮影地 沖縄県 座間味島
カンザシ模様にとけ込む擬態
岩の上に、パラソルが開いたようなイバラカンザシが群生していた。二つのらせん状の突起を立て、赤、黄、青、オレンジなどの変化に富んだ色彩は、クリスマスツリーを連想させる。
そんな姿を写そうとファインダーを覗いていると、まん中にカサゴが同じようにカンザシ模様になってたたずんでいた。
その環境にとけ込む見事な迷彩模様に、思わずお見事と叫び、脱帽してしまった。
◉サイズ 体長15センチ
◉撮影地 愛媛 宇和海
敵から身を守るまだら模様
ヤツデスナヒトデはこげ茶色の地に暗褐色の雲班模様で、砂上生活を好む。管足に吸盤があるため、砂泥底に埋没している二枚貝などの餌を掘り出すことが可能である。
センサーのようなアンテナを働かせて餌をみつけると、ねばりつく管足で殻を開ける。肉食性で、ときには仲間の幼体も食べることが知られている。
◉サイズ 脳長25センチ
◉撮影地 静岡県 東伊豆