赤系の生き物は血のにじむような朱色のものと、金色や黄味が混り合った金赤色のものが存在する。
ここでは黄味がかった赤色の生物を羅列してみた。
それぞれの環境で、自信の体色や模様を適応させ、食う食われるの世界を、
今日まで生き抜いてきた証しの姿である。
海のリンゴと呼ばれる西洋ナマコ
おはじきのような袋状のところが体で、大きく伸ばす樹枝状の触手を水中に広げるシーアップル。
この触手にからまる有機物を食べるため、イソギンチャクと見間違うことがある。
エサとなる有機物を砂泥とともに食べるため、消化管は非常に長く膨大する。そんな有機物を取り続けるライフスタイルが、環境浄化に大きな役割を果たしているという。
それならナマコを増やす養殖も、考えられる手段かもしれない。
◉サイズ 体長10センチ
◉撮影地 オーストラリア バース湾
危険な毒ウニ
伊豆沿岸の海に生息するイイジマフクロウニは金赤色の毒々しい体色で、体いっぱいに異様なトゲを持つ。「寄らば刺すぞ」とばかりに岩にはり付いている。薄暗い海底だと、そこだけ火山の火口を見るようで不気味だ。カメラを近づけると、陰影反応といって物陰を感じとる性質があるらしく、無数の毒トゲを動かして炎のようなあやしげな紫光を発する。
ちょっとでもトゲに手が触れようものなら、全身にしびれるような痛みが走る。
彼らには、とてもかなわないと思っている。
◉サイズ 直径20センチ
◉撮影地 静岡県 東伊豆
黄赤く開花するキサンゴ
大きな礁を造礁するサンゴでなく、非造礁性のオオエダキサンゴ。
オレンジがかった赤いからだと、鮮やかな黄色の触手で扇状の群体を形成する。
エサを求めて大きく触手を伸ばしている光景は、満開の花に似て非常に美しい。
しかし、この見事な彩色美を誇る個体も、残念なことに海中だけのもの。陸に上げて死んでしまうと、白い骨格だけになってしまう。
◉サイズ 各個体の直径2センチ
◉撮影地 静岡県 南伊豆
金赤のシースター
闇の中でライトに浮かび上がるオオアカヒトデは、太い5本の腕で岩礁にはりついていた。
赤い体に、黄色い斑紋がちりばみ、腕のはしからはしまで約40センチの大きな姿は、他のヒトデにない不気味さ。
夜行性のため、闇の海底を徘徊して餌を探がす。そんな暗闇では、赤い体色が無色にとけ込み、外敵から身を守る保護色となる。体色や模様自体が、夜行活動に確実に適応しているように感じる。
岩礁底に生息し、沖縄諸島海域から黒潮で運ばれてきた幼生が成長したものと考えられる。
◉サイズ 腕長40センチ
◉撮影地 静岡県 東伊豆