太陽は七色に光る。それぞれの色は海に差し込むと、クリアーな海では、青い光線は水に散っても
どこまでも青色に輝く。
それに少し深みをおびると、濃紺のインクを流し込んだように群青色となる。同じようにすき透った深い外洋では、
まるで宇宙のようにはてしなく深い青色世界につつまれる。
そこで写した写真は、青いフィルターをとおして覗いた別世界のようである。
洞くつから見上げる海面の不思議
洞くつの深底から海面を見上げると、差し込む太陽光線がパステルカラーのように細い筋をひいて伸びてくる。
なんとも幻想的な光景だと、思わずシャッターを切ってしまう。
透視度が良い時には、魚が泳ぐシルエットの姿などを配して、信じられない奥行きのある写真に仕上がることがある。また、その時々の光の様子は、強弱をつけて四季の変化を感じる。
海の群青色は、透きとおった海水と強い太陽光線が必要なのだ。
◉サイズ 魚の体長30センチ
◉撮影地 沖縄県 西表島
イシサンゴの造形は海の芸術品
切り立った岩礁の縁から天を仰ぐように繁殖するイシサンゴ。
下から見上げると大木の陰にいるようで、網目模様に入り組んだ群体の間から差し込む光線がキラキラと輝く。
海の自然が年月をかけて造り上げた見事な芸術品のようだ。その造形の神秘さは神々しい。
しかし、地球温暖化の影響による白化現象や土砂流入りによるサンゴの死滅が問題になっている。
これからもずっとその推移を見守っていきたいと思っている。
◉サイズ 群体の大きさ100センチ
◉撮影地 沖縄県 石垣島
群れるのも知恵のうち
海面近くをギンガメアジの集団が、うず巻き状にぐるぐる群泳していた。
魚の群れには順位もなく、リーダーもいないようにみえる。彼らはただ集まり、前のものに、後のものがついていくだけなのだ。だが整然と統制されているのは、すべて同一年令の個体で形成されている。
おのづと成長のよいものは、スピードが出すぎて群れを抜け出し、成長のおくれたものは群れから脱落して、粒ぞろいの群れとなっている。
◉サイズ 体長40cm
◉撮影地 モルディブ イフル島
魚のバックは群青色がお似合い
海面を背に泳ぎながら、ふと上を見上げると、サザナミトサカハギと小魚の群泳が重なった。その背景に太陽が光っている。
海中ではいずれの被写体も、そのバックにその時々がつくりだす「絵づら」が展開する。
一刻一刻変るその行景は、舞台のショーを観ているようで慌ただしいが、目を楽しませてくれる。
だが最後の引き立て役は、やはり引き締った海の群青色に勝るものはないだろう。
地球上で海を表わす基準色なのだから。
◉サイズ 体長30センチ
◉撮影地 沖縄県 与那国島